「イオンデポジット」は、車好きな人にとって避けて通れない悩みといって過言ではありません。雨に濡れて数日放置しただけでもボディ全体にできてしまい、見た目が損なわれます。
軽度なものであれば、洗車で取り除けますが固着してしまうと専用除去剤でなければ取り除けません。ボディに応じたイオンデポジット除去剤を選びたいものの、どれが良いのか分からないという方もいるでしょう。
この記事では、イオンデポジット除去剤のタイプ別の特徴やおすすめの商品を紹介していきます。どうしても除去できない場合の対処法も解説していますので、ぜひお試しください。
イオンデポジットとはミネラル成分が固まった跡
イオンデポジットとは、水道水や雨水に含まれるカルシウムやマグネシウムといったミネラル成分が、車のボディ上で乾燥して固まり、白い跡となったものを指します。
このイオンデポジットを効率よく除去するためには、その発生の仕組みや特徴を理解しておくことが重要です。ここでは、シミが発生する仕組みと効果的な成分、他のシミとの違いについて解説します。
イオンデポジットが発生する仕組み
イオンデポジットは、水道水や雨水に含まれるミネラル成分が、車のボディ表面で乾燥して固着することで発生します。洗車後や雨に濡れた後、水滴がそのまま残ると蒸発する過程でミネラル成分が濃縮され、塗装面に白い跡や斑点として固着します。
特に直射日光や高温の環境では蒸発が早まり、固着が進行しやすいため、屋外駐車場での長時間放置には注意が必要です。また、硬水地域では水に含まれるミネラル成分が多いため、洗車時の水滴からイオンデポジットが発生しやすい傾向があります。
工場地帯や沿岸地域では、大気中の汚染物質や塩分が雨に混ざることも原因となり、雨上がりにそのまま放置するとさらに発生しやすくなります。このように、日差しの強い場所や水質の影響を受けやすい環境下では、イオンデポジットが発生しやすいと言えます。
イオンデポジットの除去に効果的な成分
イオンデポジットの主成分はミネラルであり、アルカリ性の性質を持ちます。このため、効果的に除去するには、反対の性質を持つ酸性成分を含む除去剤が適しています。
具体的には、キレート酸や無機酸塩などが有効で、アルカリ性ミネラルの結合を分解し、固着したシミを溶解して取り除く働きがあります。一方で、アルカリ成分の除去剤は同じ性質で効果が薄いため、相性が悪いと言えるでしょう。
さらに、酸性成分による溶解ではなく、微粒子研磨剤を使用して物理的にこすり落とすタイプの商品も効果を発揮します。ただし、酸性成分にはボディの塗装を変色させたり、コーティング被膜を損傷させたりするリスクがあるため、使用時には取り扱いに注意が必要です。
ウォータースポットとの見分け方や特徴の違い
ボディにできるシミには「ウォータースポット」と呼ばれるものもあります。ウォータースポットとは、イオンデポジットのシミが固着し、塗装表面のクリア層まで浸食が進み、塗装が凹んで締まっている状態を指します。
そのため、全くの別物というわけではなく、イオンデポジットが酷くなった状態を指します。どちらもアルカリ性であるため、酸性の除去剤で取り除けますが、ウォータースポットの場合、浸食の跡まで消すことはできません。ウォータースポットの跡を消すには、専門店での磨き作業が必要です。
イオンデポジットの落とし方は主に2種類
イオンデポジットを効率よく取り除くためには、専用の除去剤を使用するのが最適です。除去剤を用いたシミの除去方法には、大きく分けて2種類あります。
ここでは、各除去方法の効果の強さや、どのようなシチュエーションで使用するのが適しているかについて詳しく解説します。
酸性の除去剤でイオンデポジットを溶かして落とす方法
酸性の除去剤を使用してイオンデポジットを溶かして落とす方法は、軽度から中程度のシミを効率よく除去するのに適しています。クリーナーやスプレータイプの商品が販売されており、広範囲に均一に塗り広げられるため、ボディ全体のシミを一度にケアしたい場合におすすめです。
除去作業では、研磨などの物理的な作業は必要なく、除去剤を塗布して数分間放置し、成分をミネラル分に浸透させます。その後、水で丁寧に洗い流すことでイオンデポジットを除去します。
頑固なシミの場合、この工程を複数回繰り返すことで除去効果を高められます。この方法は塗装面への負担が少ないため、日常的なメンテナンスにも適しています。
研磨剤入り除去剤でイオンデポジットをこすって落とす方法
微粒子を配合した研磨剤入りのイオンデポジット除去剤は、中程度から重度の頑固なシミの除去に適しています。主にクリーナータイプの商品が多く、専用のクロスやスポンジを使用して優しくこすりながらシミを物理的に削り取ります。
作業時には、除去剤が乾燥してしまうと変色やシミの再付着のリスクが高まるため、ボンネット、ルーフ、ドアなどにエリアを分けて短時間で作業を進めることが重要です。
除去効果が高い反面、コーティング施工車では被膜を剥がす恐れがあるため、使用は控えましょう。コーティング施工車の場合は、酸性成分を使用した専用の除去剤で、コーティング対応のものを選ぶようにします。
プロおすすめのイオンデポジット除去剤
コーティング専門店・カービューティーIICでは、実際の下地処理で使用するプロ仕様のイオンデポジット除去剤を販売しております。除去効果が高く施工性にも優れているため、作業経験がない方でも安心してご使用いただけます。ここでは、プロがおすすめするイオンデポジット除去剤を2つ紹介します。
SCHILD®イオンデポジット除去剤【コーティング施工車対応】
SCHILD®イオンデポジット除去剤は、専門店のプロが実際に使用する高性能なイオンデポジット専用クリーナーで固着した頑固なミネラルシミを効果的に除去します。酸性成分を活用してミネラル分を化学的に分解し、塗装面を傷めずにシミを取り除きます。
軽度から中程度のイオンデポジットだけでなく、放置によって頑固になったシミにも対応可能です。使用方法は、柔らかい布やスポンジに適量を取り、対象部分に塗布して軽くなじませた後、数分間放置します。その後、たっぷりの水で洗い流すだけです。研磨剤は配合されていないため、コーティング施工車にも対応しています。
SCHILD® 水垢除去剤
SCHILD® 水垢除去剤は、水垢や油膜をはじめとした頑固な汚れを効果的に除去するために開発されており、イオンデポジットの除去にも活用できます。酸性成分と微粒子研磨剤の組み合わせが特徴で、塗装面を傷めることなく短時間でイオンデポジットを取り除けます。
使用手順は洗車を行い、対象部分をきれいにします。その後、専用のスポンジや柔らかい布に適量を取り、塗装面に優しくなじませるように塗布します。水垢や汚れが浮き上がったら、水でしっかりと洗い流し、仕上げに乾拭きを行う流れです。
微粒子研磨剤が含まれているため、コーティング施工前の下地処理におすすめです。濃色車用と淡色車用があるため、購入の際に間違えないようにしてください。
・SCHILD® 水垢除去剤(濃色車専用)の詳細はこちら
・SCHILD® 水垢除去剤(淡色車専用)の詳細はこちら
評判の高い最強のイオンデポジット除去剤
近年では、DIY施工向け商品が多数販売されており、下地処理用のイオンデポジット除去剤もさまざまなメーカーのものが存在します。ここでは、その中でも特に評判の高いイオンデポジット除去剤について、購入者のレビューも交えながら紹介します。
ながら洗車|DeepBase
画像引用元:ながら洗車DeepBase|Amazon
「ながら洗車」のDeep Baseは、シリコーンとレジンを配合した高性能な下地処理剤で、従来の製品では落とせなかった小傷や水アカを除去しながら、美しい艶感を演出できます。
汚れを落とすだけでなく、小傷を埋めて塗装面を滑らかに仕上げる機能を備えていることが特徴です。ガラスコーティングのリセットも可能で、水アカや傷だけでなく、古いガラスコーティングを取り除くことができます。
通販サイトAmazonでは、5つ星満点中、4.4を獲得しており実際にあるレビューでは「シミなどが消えるのはもちろん、表面がツルツルになるので下地処理としておすすめ」「これまで諦めていた頑固なシミや汚れが全部消えた」といった声がありました。
カーピカイズム|ステイン&スケールクリーナー
画像引用元:カーピカイズム ステイン&スケールクリーナー300ml (酸性)|Amazon
カーピカイズム ステイン&スケールクリーナーは、洗車上級者向けに開発された強力洗浄剤で、無機スケールや黒ずみ汚れ、イオンデポジットなどに特化した製品です。高浸透性の液剤が汚れの深部まで浸透し、反応・溶解することで、頑固な汚れを効率よく除去します。
酸性成分を含むため、特殊塗装やガラス、金属パーツなどには使用を避ける必要がありますが、適切に使用すれば他の製品では落とせない頑固な汚れに高い効果を発揮します。
通販サイトAmazonでは、5つ星満点中、4.3を獲得しており実際にあるレビューでは「ボディの頑固なシミがほぼ全て除去できた。ちょっとした隙間の黒ずみ除去にもおすすめ」「他の商品とは比べ物にならないくらい効果がある」といった声がありました。
ラクシア|車用イオンデポジット・雨ジミ除去剤
画像引用元:ラクシア車用イオンデポジット雨ジミ除去剤|Amazon
LUXIA(ラクシア)の「イオンデポジット除去剤 Dr」は、施工性に力を入れた商品で、誰でも手軽に作業できる特徴があります。スプレー後にクロスで拭き取り、水で洗い流すだけで作業が完了します。
撥水性コーティング施工車にも使用可能ですが、撥水効果が弱まる可能性があるため、使用する際は注意が必要です。
通販サイトAmazonでは、5つ星満点中、3.8を獲得しており実際にあるレビューでは「他の商品で取れなかったイオンデポジットが除去できた」「コーティング施工車に使えるのはいいが酸性成分の強いものに比べると効果が薄いような気がする」といった声がありました。
関連記事:ガラス系コーティング剤のおすすめ!多過ぎて迷った方は必見!!
イオンデポジット除去剤は危険?使用する前に知っておきべきこと
イオンデポジット除去剤は、塗装面に固着した頑固なシミを溶解して除去するために酸性成分が含まれています。酸性成分は、適切に使用しないと車の塗装やコーティングにダメージを与える可能性があります。
溶剤を長時間放置したり、洗い流しが不十分だったりした場合、塗装が変色する恐れがあるため注意しましょう。コーティング施工車の場合は、必ず「コーティング対応」の除去剤を選ぶようにしましょう。
また、微粒子を配合したタイプは、力を入れすぎて擦ると細かい線傷が入る可能性があります。塗装の劣化が進んでいる車では、クリア層が剥がれたり、塗装の色味が変わることで模様のようになったりするケースもあるため、何度も作業を繰り返すのは危険です。
除去剤でイオンデポジットが取れない場合は専門店への依頼がおすすめ
イオンデポジットやウォータースポットが塗装面に頑固に固着し、除去剤では完全に取り除けないことがあります。特に塗装表面に凹凸ができている場合は、除去剤だけで対応を続けると、塗装の変色リスクが高まる可能性もあります。
このような場合は無理に自己処理をせず、コーティング専門店に依頼するのがおすすめです。専門店では、塗装表面のクリア層を丁寧に研磨し、美しい状態にリセットする作業を行います。
必要に応じて新たなコーティングを施工することで、汚れやシミが固着しにくくなり、今後の洗車で簡単に落とせる状態を作ることが可能です。また、定期的なアフターメンテナンスを専門店に依頼することで、プロの技術による適切なケアを受けられます。
関連記事:車のコーティングって必要?メリットや業者,種類の選び方を解説
イオンデポジット除去を依頼できるお店
イオンデポジットの除去は、コーティング専門店以外でも依頼可能です。具体的には「イエローハット」「キーパープロショップ」「ガソリンスタンド」などがあります。ここでは、各店舗のサービスメニューについて解説していきます。
イエローハット
イエローハットは店舗によってカーコーティングメニューが用意されており、その下地処理としてイオンデポジットの除去を依頼できます。コーティングオプションには研磨作業も用意されており、塗装に凹凸がある場合もキレイに修正可能です。
ただし、シミの浸食具合によっては跡が残る可能性もあるため、事前に状態を見てもらうようにしましょう。コーティングは3種類用意されており、最も費用の安いエコノミークラスであれば、16,500円〜で依頼可能です。水垢除去作業のみの依頼はできません。
ちなみに、オートバックスでも一部の店舗でコーティングや洗車サービスを扱っており、水垢やシミの除去に特化したメニューを扱う店舗もあります。
キーパープロショップ
ガソリンスタンドなどに併設しているキーパープロショップでも、イオンデポジット除去を依頼できます。さまざまなタイプコーティングが用意されており、下地処理としてシミや水垢の除去が行われます。
また、ミネラル取り洗車や精密研磨だけを依頼することも可能であり、除去費用を抑えやすいことが魅力と言えるでしょう。費用は記載されておらず、ボディの状態を確認したうえで決定します。
コーティングを施工すると、施工後の洗車が会員価格で利用できるため、長くキレイな状態を維持したい場合は、コーティングも検討してみましょう。
エネオスなどのガソリンスタンド
エネオスなどのガソリンスタンドでは、洗車を中心にさまざまなメニューが用意されています。洗車メニューの詳細はお店によって異なるものの、公式サイトによると、洗車のオプションとして、水垢などの除去作業を依頼できます。
精密研磨ではなく、除去剤による作業となるため、取れるか不安な場合は事前に状態を確認してもらうようにしましょう。
参考:エネオス
イオンデポジット除去に関するよくある質問
最後はイオンデポジット除去に関する、3つのよくある質問に答えていきます。
・イオンデポジットに熱湯をかけると除去できる?
・クエン酸が有効って本当?
・コーティング施工車にコンパウンドは使用できる?
シミ除去に関する裏技の真相やコンパウンドの使用に関する内容ですので、参考にしてみてください。
イオンデポジットに熱湯をかけると除去できる?
イオンデポジットのシミに熱湯をかけて除去できるという噂がありますが、これは間違いと言えます。熱湯は、花粉などの熱に弱い成分が原因でできたシミには一定の効果を発揮するものの、イオンデポジットにはほとんど効果がありません。
熱湯の使用は、車のバイザーや樹脂部分が熱によって変形する可能性があり、最悪の場合、塗装にダメージを与えることもあります。さらに、作業中に火傷を負う危険性もあるため、熱湯を使った除去方法は基本的におすすめできません。
クエン酸が有効って本当?
クエン酸は酸性の性質を持ち、アルカリ性の汚れであるイオンデポジットの除去に一定の効果があります。しかし、車の塗装や素材に対する影響を考慮すると、使用には注意が必要です。
クエン酸の濃度が高すぎたり、長時間放置したりすると、塗装が変色するリスクがあります。そのため、基本的にクエン酸の使用はおすすめしません。
どうしても試したい場合は、使用前に目立たない部分でテストを行い、問題がないことを確認してから全体で作業するようにしましょう。金属部分の変色にも注意が必要です。
コーティング施工車にコンパウンドは使用できる?
ボディ研磨用のコンパウンドは、イオンデポジットの除去に使用できるものの、粒子の大きさによっては傷だらけになる可能性があります。また、手磨きで均等にボディを磨くのは難しいと言えるでしょう。
シミ除去に使用する場合は、除去剤として販売されているものを選び、研磨用の商品は選ばないようにしましょう。
イオンデポジットを上手に除去して愛車をキレイな状態で維持しよう
イオンデポジットは、雨水や水道水に含まれるミネラル成分が乾燥してできるシミのことで、固着してしまうと洗車だけでは除去できません。ボディ状態に合ったイオンデポジット除去剤を選び、効率よく除去しましょう。今回紹介した商品は、評判の高いものばかりですので、ぜひお試しください。
どうしてもイオンデポジットが取れない場合は、お店に研磨作業を依頼するのもおすすめです。専門店であれば、コーティングを施工し長期的なアフターフォローを受けられます。今後のカーライフに沿った方法で愛車をお手入れしましょう。