
カーコーティングには「撥水系」「親水系」「滑水系(疎水系)」の3種類があり、水の弾き方が異なります。それぞれにメリット・デメリットがあり、ボディカラーや駐車環境に合ったものを選ぶことが大切です。
コーティング施工を検討しているものの「各撥水タイプの特徴が分からず、何が最適なのか判断できない」という方もいるのではないでしょうか。また、滑水系のコーティング剤で、質の高い商品が知りたいという方もいるでしょう。
この記事では、滑水系コーティングのメリット・デメリットや、おすすめする人について、分かりやすく解説していきます。プロが厳選した最強の滑水コーティング商品も紹介していますので、DIY施工で試してみてください。
滑水コーティングとは?撥水・親水タイプとの違い
冒頭で解説した通り、コーティングには水の弾き方によって「撥水系」「親水系」「滑水系(疎水系)」の3種類に分かれます。これらの種類を区別する方法として「接触角度」があります。
接触角度が高いほど水を強く弾く傾向にあり、各撥水タイプの接触角度は以下の通りです。
滑水(疎水)タイプは真ん中に位置しており、親水タイプよりは水を強く弾くものの、撥水タイプ程ではないことが分かります。
この撥水力の違いにより、同じコーティングでもメリット・デメリットが大きく異なります。
滑水コーティングは撥水系と親水系のメリットを兼ね備えている
撥水タイプを選ぶうえで、各コーティングのメリット・デメリットが気になるという方もいるでしょう。滑水系は水を弾く力が撥水系と親水系の中間に位置していることから、双方のメリットを兼ね備えたものとなっています。
撥水系のメリット・デメリット | 水を強く弾くことで、少量の水や雨で汚れが流れ落ちやすく、ボディの水も拭き取りやすいため、お手入れが楽になる。一方で、細かい水滴がボディに残りやすく、乾くとシミになりやすい。 |
親水系のメリット・デメリット | 水を強く弾かないため、水がまとまって流れ落ちやすい。水玉ができにくく、そのまま乾燥してもシミになりにくい特徴がある。一方で、水がゆっくり流れるため、少量の水では汚れが流れ落ちにくい。 |
滑水タイプは、撥水のように少量の水で汚れを洗い流せるうえ、撥水力が強すぎないため水玉が残りにくく、シミもできにくいという特徴を持っています。そのため、撥水や親水に強いこだわりがなく、双方の良いところを取り入れたいという方に最適と言えるでしょう。
滑水コーティングをおすすめする人
前述の通り、滑水タイプは撥水と親水の良いところを取り入れたコーティングであり「このような人に絶対おすすめ」といった特定の縛りはありません。
・とにかくシミの発生を防ぎたい
・とにかく撥水力の強さにこだわりたい
このような強いこだわりがなく、無難なものを選びたいといった方に最適です。一般的にシミが目立ちやすい濃色車は親水系、シミが目立ちにくい淡色系は撥水系が合うとされています。
しかし、滑水はシミも防ぎやすくお手入れしやすいので、どの色でも問題なく、特定の駐車環境に限定されることもありません。
撥水タイプの違いよりも重要なのはお手入れ頻度
撥水タイプの選択は、お客様からの問い合わせの中でも特に内容です。その際にお話しするのが「最も重要なのはお手入れ頻度」という内容です。各撥水タイプの特徴はあくまで傾向であり、絶対的なものではありません。
たとえば、撥水タイプでもシミが少ない車がある一方で、親水タイプでもシミが多く残る車も存在します。これは、お手入れの頻度が大きく影響しているためです。
コーティングを選ぶ際、『これを選べば汚れがつかない』という絶対的な正解はありません。専門店では、駐車環境やボディカラー、お手入れ頻度などを詳しくヒアリングしたうえで最適な撥水タイプを提案しますが、お手入れが重要であることを理解しておきましょう。
【プロが厳選】おすすめの滑水コーティング剤3選
コーティング専門店・カービューティーIICでは、滑水コーティング剤を販売しています。ここでは、数多くのコーティング剤を扱ってきたプロが、特におすすめする滑水コーティング剤を3つ紹介します。
それぞれに特長があり、対象とする方も異なりますので、気になるものを選び、DIY施工で試してみてください。
【SystemX RENEW240ml】最上級の品質で施工性も抜群
System Xは、アメリカの航空宇宙産業に特化した特殊コーティングの研究開発会社が開発したブランドで、セラミックコーティングで高い評価を得ています。
圧倒的な耐久性をそのままに施工性が改良され、DIY用として誕生したのがSystemX RENEWです。超疎水(滑水)性のコーティング被膜を形成させ、強い撥水力で汚れの固着を防ぎつつ、シミの発生も防ぎやすい魅力があります。
耐久性だけでなく光沢にも優れており、透明感のある艶を実感できます。スプレータイプで溶剤を塗り広げて仕上げ拭きするだけであり、ガラス部分や樹脂パーツにも施工可能です。品質にとにかくこだわりたいという方に最適なコーティングです。
SystemX RENEWの詳細はこちら
【SCHILD® 滑水リキッド290ml+洗車セット】初心者向けのお得セット
SCHILD® 滑水リキッドは、滑水コーティングリキッドにプラス洗車アイテムがセットになったお得な商品です。初めてのDIY施工を予定している方におすすめです。
洗車で汚れを洗い流し、乾燥させたボディにリキッドを吹きかけながらクロスで塗り込んでいきます。ボディに馴染みやすく施工が苦手な人でも安心です。
深みのある美しい光沢が備わり、耐久性も高いため長く使用し続けられるコスパにも優れた商品ですので、ぜひお試しください。
当店ではこの他にもさまざまなコーティング剤を販売しており、下地処理用のアイテムや洗車グッズも取り揃えています。プロが認めた品質の高いものばかりですので、DIY施工でお試しください。
滑水コーティングをDIY施工する手順
前章で紹介した通り、近年はDIY施工用の商品も多数販売されており、施工経験のない人でも気軽にコーティングできるようになりました。
DIY施工用の商品は、施工性が改良されており比較的簡単にコーティングできるものの、正しい手順で行わなければムラやギラツキができてしまう可能性があります。
ここでは、DIY施工に必要なアイテムや具体的な施工手順について解説していきます。
施工に必要なアイテム
カーコーティングは下地処理工程とコーティング施工工程に分かれています。専門店では、下地処理の中で鉄粉除去や磨き作業などを行いますが、今回は、下地処理は洗車のみ行うことを前提としています。
・マスキングテープ:樹脂部分にコーティングが当たらないようにする
・ライト:コーティングを塗布した後にライトを当てるとムラのチェックがしやすくなる
・エアブロー:細かい隙間の水を飛ばして乾燥させやすくなる
中古車にコーティング施工する場合は、鉄粉などが付着してザラザラしている可能性があるため、必要に応じて「鉄粉除去剤」を最初に使用しましょう。また、シミや油膜が気になる場合は「イオンデポジット除去剤」を使用します。
当店では「下地処理セット」も販売しておりますので、中古車のDIY施工でお試しください。
必要に応じて下地処理を行い洗車する
シミ除去や鉄粉除去を行う場合は、最初にボディを濡らして汚れを洗い流してから行います。作業方法は購入した商品の作業手順を参考にしましょう。除去剤は成分が強いためなるべく手袋を着用して作業してください。
新車で洗車から始める場合は、いきなり洗わずに上から下の順番で水を強めにかけて、汚れを流していきます。十分に汚れを流し終えた後は、カーシャンプーで隅々までボディを洗っていきます。
ボディを洗う順番も上から下が基本であり、足回りなどは最後に洗いましょう。洗い終わった後は水で洗い流し、乾燥させます。この際にエアブローがあれば、細かい隙間やグリル部分の水気まで飛ばせるので便利です。ボディを拭き取った後に1時間は乾燥させるようにしましょう。
コーティング剤を塗布する
ボディが乾いた後は、コーティングを塗布していきます。塗布する順番に明確な決まりはないものの、ルーフ(天井)から塗ると、溶剤が服についてしまうリスクをなくせます。初めてで不安な場合は、目立たない箇所で試し塗りしてみるのも良いでしょう。
施工方法は商品によって異なりますが、施工範囲は2分の1~1パネルずつ行います。広範囲に溶剤を塗りすぎると、塗り広げたり溶剤を拭き取ったりしているうちに乾燥してしまい、ムラの原因になります。
樹脂部分は、溶剤が浸透してしまうとムラになり取れなくなります。樹脂部分にも施工できるものを除き、溶剤が付かないように注意しましょう。不安な場合は車用のマスキングテープで保護します。
仕上げ拭きでムラやギラつきをチェックする
均等にマイクロファイバクロスで塗り広げた後は、別の新しいマイクロファイバクロスで仕上げ拭きしていきます。この際にライトがあると拭き漏れや拭き残しを見つけやすくなります。
コーティングが乾いてしまい、ギラつきが取れない場合は強めに固絞りしたウエスで軽く拭き取ると取れやすくなります。強く拭きすぎるとコーティングまで剥がれてしまうため注意しましょう。
仕上げ拭きした後は、所定の時間そのままで乾燥させれば施工完了です。コーティングの施工方法は、動画でも紹介していますので、ぜひご覧ください。
動画引用元:carbeauty iic|YouTube
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滑水コーティングのDIY施工時に注意すべきこと
DIY用コーティングは施工性が良く、初めての方でも気軽に作業できますが、これから紹介する注意点を守らなければ、ムラやギラツキができる可能性があるため、理解したうえで作業しましょう。
・風の強い日を避けて作業する
・一気に広範囲に溶剤を塗らず、1パネルずつ進めていく
・必ず仕上げ拭きを行う
・マイクロファイバクロスを使用する
青空駐車していた車は、洗車してもボディの熱がなかなか下がりません。しっかり水をかけて熱を下げましょう。ボディが熱いまま作業すると、瞬時にコーティングが乾いてしまいムラができます。
風の強い日は、砂ホコリが飛散するため、ボディを拭き上げる際にクロスで引きずってしまい、傷の原因になります。仕上げ拭きはギラつきをなくすだけでなく、拭き漏れなどを見つけることもできますので、必ず行いましょう。
【フロントガラス用】おすすめの滑水コーティング剤
滑水コーティングにはボディ用だけでなく窓ガラス用の商品にもあります。効果はボディ用と同じであり、コロコロと気持ちよく水が流れ落ちつつ、細かい水玉が残りにくいためシミができにくい特徴があります。
「System X Glass」は、プロ仕様のコーティング剤であり、耐久性に優れており何度も塗り直す必要がありません。施工することで、雨の日の視界が良好になるだけでなく、ワイパーの使用頻度が減りフロントガラスの傷予防も可能です。
滑水コーティングが施工できるお店の特徴
撥水タイプの選択と同様に迷うのが「コーティングの依頼先」です。近年はさまざまなお店でコーティングができるようになりました。しかしながら、お店によって施工レベルや価格に傾向があるため、希望に沿ったお店を選ぶことが大切です。
ここでは、カーショップ・ディーラー・コーティング専門店の特徴について解説していきます。あくまでも傾向であり、全てのお店が該当するわけではないものの、参考にしてみてください。
オートバックスなどのカーショップ
オートバックスやイエローハットといったカーショップの特徴は、以下の通りです。
・最低限の設備が揃っており、施工レベルはスタッフによって大きく異なる
・品質よりも手軽さ重視のものが多く、施工コストを抑えたい方向き
・カスタムパーツなどの取り付けや整備、点検なども一緒に依頼できる
カーショップは、コーティングの施工機材や施工設備に力を入れているお店は少なく、コーティング施工に特化して長年働いているスタッフが少ないため、施工レベルも高くはない傾向です。
ただし、近年は「Smart+1」など、コーティングに力を入れているお店もあり、カーショップだからレベルが低いというわけではありません。また、施工価格の安さはカーショップならではの魅力と言えるでしょう。
ディーラー
ディーラーでは、独自開発したコーティング剤の施工を行っており、特徴は以下の通りです。
・設備や機材はカーショップと同程度。
・コスパの良いものから品質重視のものまで揃っている
・メンテナンスなどのアフターケアが充実していない一方で整備などをまとめて依頼できる
ディーラーもカーショップと似ており、あくまでも車の販売がメインであるため、大掛かりな機材や設備が完備されているお店は少ないと言えます。
メンテナンスも整備ついでに用意されたものが多く、一緒にまとめて依頼できる一方で、メニューが充実しているわけではありません。自動車ローンに施工費用を組みこめて、納車前に施工してもらえるメリットがあります。
コーティング専門店
品質を重視したい方は、専門店での施工をおすすめします。専門店の特徴は以下の通りです。
・専用機材や設備が完備されているお店が多く、施工環境が整っている
・品質にこだわった商品のみを扱っている
・アフターケアが充実しており、コーティング効果を長く維持しやすい
・お店によってレベルに大きな差があるため、お店選びに注意が必要
専門店はコーティングに特化しているため、専用機材や設備にも力を入れており、施工環境が整っています。コーティング経験が豊富なスタッフが多く、施工レベルも高いと言えます。
扱う商品は最上級の品質のものが多く、数万円ほどで施工できるものは少ない傾向です。各コーティングに複数のメンテナンスメニューが用意されており、ボディ状態によって作業内容をカスタム可能です。
ただし、これらの特徴は優良なお店の内容であり、中には専門店を謳い全く機材や設備にこだわっていないお店もあるため、お店選びに注意が必要です。
滑水コーティングに関するよくある質問
最後は滑水コーティングに関する、3つのよくある質問に答えていきます。
・コーティング施工後のお手入れ方法は?
・滑水性なら雨シミを防げる?
・滑水コーティングのデメリットは?
滑水の特徴やコーティング施工後のお手入れ方法などを紹介していますので、参考にしてみてください。
コーティング施工後のお手入れ方法は?
コーティング施工後のお手入れ方法は手洗い洗車が基本です。洗車頻度は駐車環境や使用頻度によりますが、青空駐車でほぼ毎日使用する場合は1~2週間に1回、屋内駐車で毎日使用しない場合は2~3週間に1回を目安にしてみましょう。
花粉や黄砂はボディにダメージを与えやすいため、飛散しやすい時期はなるべく短い頻度での洗車をおすすめします。ただし、自動洗車機は、劣化したブラシにより被膜が傷つく可能性が高いため、おすすめしません。
どうしても洗車機を使用したい場合は「ノンブラシタイプ」の洗車機をおすすめします。手洗い洗車の方法は、下記記事で詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
関連記事:プロが教えるガラスコーティングのメンテナンス方法について
滑水系なら雨シミを防げる?
滑水系は、撥水系に比べると雨シミを防ぎやすく、親水系に比べると防ぎにくいと言えます。ただし、あくまでも特徴であり、最も大切なのは普段のお手入れとなります。
お手入れがしっかりできれいれば、撥水性能に関係なく、シミを防げます。汚れた状態で長期間放置しないように注意しましょう。また、半年~1年に一回の頻度でメンテナンスを依頼することで、軽度なシミであれば除去できます。
滑水コーティングのデメリットは?
滑水コーティングに大きなデメリットはないものの、強いて言えば特定の性能に特化していないことがあります。
撥水タイプは水弾きが強く、汚れを洗い流しやすさに特化しており、親水系はまとまって水が流れるのでシミの防ぎやすさに特化しています。滑水タイプはこの中間に位置しているため、良くも悪くも無難なコーティングと言えるでしょう。
ただし、撥水と親水の良さどちらも持っていることは、滑水ならではの魅力と言えます。
愛車に合ったコーティングを選ぼう
滑水系コーティングは、撥水系と親水系のメリットを持っており、施工する車を選ばない優秀なコーティングと言えます。ただし、最適なコーティングはお手入れ頻度や駐車環境などによるため、施工前には専門店のスタッフに相談してみましょう。
また、どの性能でも完璧にシミなどを防ぐことはできません。また、キレイな状態を維持するにはこまめなお手入れが必須です。今回紹介したお店の特徴も踏まえながら施工先を決めてみましょう。
コストをなるべく抑えたい方は、DIY施工もおすすめです。紹介した施工方法で作業を進めてみましょう。